初めに。
エビ撒き釣りには不思議な魅力がある。
他の釣りと比べて用意する道具も多く、決してお手軽とは言い難い。
磯竿も数万円はかかるし、レーバーブレーキ付きのリールも決して安くない。
餌代だって月額にすれば馬鹿にならない。
沖波止に渡ろうと思えば渡船代もかかるし、シラサエビ用のクーラーなど結構な荷物があり、カートがないと移動も困難だ。
そして釣れる魚の種類は多いものの大阪湾で釣れる魚は大体決まってくるわけで、家族からは「違う魚を釣って」とせがまれる。
極寒の冬に波止で、灼熱の夏に堤防の上で、沈まないウキをじっと見つめながら一心にアタリを待つ。
ひどい時はこのまま一日が終わることも珍しくない。
特に初心者の頃は、こういった日が多く悔しい日々。
それでも休日になると、またシラサエビを購入して釣りに行く。
このエビ撒き釣りは、関西では非常に人気が高くポピュラーである。
大阪湾近郊の釣具店や餌屋さんではシラサエビを取り扱っていない所がないくらい、どこでも置いてある。
その人気の理由は、手軽な波止場から楽しめる大物とのやりとりだ!
ひとたび本命が当たればアドレナリンがドバドバ!! 足を踏ん張り、腰を落とし、竿を持つ手に全身全霊を賭ける。
これが、とんでもないビッグモンスターだった場合、全身が震えて鼓動が早くなり異常な緊張感を感じずにはいられない。
そして、ビッグモンスターとのやり取りに打ち勝った瞬間、つまり、それがタモに収まった時には、今までの苦労が吹っ飛んで歓喜だけが体にいきわたる。
また、手軽な波止場ということもあって、ギャラリーも多い。釣り上げれば、まさに英雄である。
もしバラシたとしても、その悔しさから、次の休日まで待てなくなるほどだ。
中毒になるわけである。一度釣ってしまうとやめられない。
次も釣れるのではないか?次こそは釣ってやる!!
これほど面白く、ゲーム性と中毒性を兼ね備えた釣りであるのに、エビ撒き釣りの専門書籍が一冊もない!!
それなら私が書いてやる!!
本書では、エビ撒き釣り初心者でも釣れるようになる基本知識から、アワセや誘いの実践テクニックを解説。
さらに、ベテランエビ撒き釣り師をも驚愕させる爆釣の秘訣までも書き記したつもりだ。
本書では「ウキ釣り・フカセ釣り」でのエビ撒き釣りを解説していく。
もちろん、ウキ釣りの方がフカセ釣りに移行しやすいように、その手順及び仕掛け図も用意している。
魚を釣りながら、自分のレベルアップも実感できるようになっているので、これからフカセ釣りを始めようという方にはぴったりの内容である。
なお、本書の対象者としては、エビ撒き釣りは初心者であっても、他の釣りをある程度されている方を想定したので、まったくの釣り初心者の方には分かりづらい内容になっているかもしれない。
ただ、初心者でも仕掛け図があるので、それを真似するだけでも、ある程度魚が釣れるようにはなっていると思う。
内容が膨大になってしまったので2部構成とし、エリア攻略記事は後編にてアップする。